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ミーハーシンドローム 闘病日記 ~iPad編

2011年10月01日作成   1page  2page  3page 

天野 忍


新し物好きの病と認めるしかない。なんやわけわからないようなデジタルガジェットが置いてあると,自分なりの結論を出したくて一通り触ってしまうのだ。中でもタッチパネルは鬼門である。業務用だったが三菱電機のAMiTYが見たくて古き良きころの“アキバ”を彷徨っていたし,特殊ヒンジでデジタルタブレットになるVaio LXの店頭展示機に目を輝かせた(買えなかったけど)。Palm・CLIE・ザウルスにも取っ替えひっかえ付き合ったクチだ。結果として、デバイスを変える度にデータ移行に頭悩ませ,新しいアプリケーションや入力手法に慣れなければいけないのだから,本末転倒とはこのことだろう。

最近は齢のせいもあり、そのスパイラルに疲れを感じ,「ほぼ日カズン」に,ちまちま文字を書き入れながら,「やっぱり紙だよねぇ」などと,したり顔をしていた矢先のiPadである。

……やっぱり手を出しちゃった。

しかも、Apple Store経由で予約して、発売日当日に手にしたiPad。正直言って熱病に浮かされ,下調べもそこそこに、勢いで購入申請をしたことは否めない(すいません、自腹じゃないんです;)。発売から1年半経とうとしている今でこそ,いくらか俯瞰して「iPad狂想曲だったね~」などと言えるのだが,その当時の雰囲気にどっぷりと浸かっていたら,全くそんな境地になれなかった。

それからおよそ1年,iPadに触れなかった日はほとんどない。いわゆる蜜月と呼べる日々も過ぎ,iPadの得意不得意も見えてきたように思う。また,日本ユニテックとして,このデバイスに取り組んだ幾らかの事例も芽を出し始めている。それで,正直に言って少なからず“今更感”を感じつつも,(iPad2も無事発売されたこともあり)この機会に等身大の切り口で現在の症状をお届けする。


ハード視点から見たiPad


まずはハード面から語ってみよう。iPadの発売以来,主にAndroidを始めとしたタッチパネルデバイスが乱立しているのはご存知のとおりだが,それでもiPadのハードウェア設計は次の一言に尽きると今でも思っている。

「すばらしい」

画面は必要十分の大きさで,解像度や明るさも申し分ない。ハードウェアスイッチも最小限の物に抑えられており,最初は慣れが必要なものの,一度扱いに慣れてしまえば,逆にトラブルの元が少ないメリットとして感じられるはずだ。

そして,高評価の最大の理由は,その操作感だろう。タップ&ドラッグは言うに及ばず,(現在のタッチパネルデバイスにとっては既に基本機能となった)ピンチ/フリックなどの感触はとてもスムーズで心地よい。購入して1ヶ月ほどは触るだけで満足していたほどである。(余談だが,この点Android端末にはもう一段の努力を期待したいところだ。iPadの吸いつくようなオペレーション体験が実現出来れば,追撃体制に一段の拍車がつくだろう。)

また,バッテリの持ちも特筆すべきものだ。明るさの設定や使用法にも依ると思うが,私の環境では,自作したPDFを移動中に読んだり,手持ちのPocketWiFiと接続してネットを見たり,メールを確認したりと終日フルに使用しても,バッテリ残量が30%を切ることはない。多少不安になった時でも,小さな電源コネクタと充電ケーブルを持ち歩いていれば,開放されているコンセントやPCのUSBコネクタから簡単に充電する事が出来る。

さらに,ハードウェアに関して開発ベンダの視点から付け加えるならば,画一性を持つプラットフォームのメリットを挙げることができるだろう。

何らかのアプリを提供しようとする場合,実機環境を使用したテストは不可欠である。もちろん最近では開発環境にシュミレータが搭載されており,各端末での動作を想定することができるものの,Androidのように解像度から画面サイズまでマチマチなものとなると,画面設計やテスト工数への影響は非常に大きなものとなる。

それに対してiPadは良くも悪くも1種類しかなく,メモリのオーバーフローにさえ注意すれば,確実な動作を期待することができのだ。

さて,そのような高い評価が並ぶ中で,これまでiPadに対する改善要望が一番多かったのは,その重さに対してだったろう。

最初のうちはいい。前述した通り触るだけで満足できるし,話題性だけで多少の苦労は乗り切れる。しかし,その時期が過ぎると680gの重さが恨めしくなってくるものだ。

実は私の洗脳工作に陥落して,ほぼ同時期にiPadを買わされた(?)上司とお客様がいるのだが,最初に寄せられたクレームは,やはり「重い」ということだった。

もちろん,こちらにも言い分はある。「その重さがあるからこそ,触って気持ちいい質感のアルミの外装があるんだよ!」とか,「その重さがあるからこそ画面が広くて明るくても電池が持つんだよ!」とかである。でも一度染み付いた印象って拭うのが大変なんだよな~,もうちょっと軽ければもっと売れるんだけどな~などと,勝手ながらApple社の心配をしていたわけだが,そんな勝手連に心配されなくても,ちゃんとAppleは考えていたのだった。

震災の影響もあり,4月28日に延期して発売されたiPad2は前述の優位点を全て網羅しつつ,33%薄く,15%軽いボディに身を包んでの登場である。しかも,新しいデュアルコアのA5チップは,単純な処理性能で2倍,グラフィックス演算処理では最大で9倍のパフォーマンスを発揮するという。しかも,前後2つのカメラ付き(表1参照)。
加えて,全ての画面をHDMIケーブルを使用して画面出力できるようになったことや,3軸のジャイロスコープが搭載されたことによる使い方の広がりも,細かな点だが歓迎されるべきところだろう。

結局のところ,「すばらしい」

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