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猿ジニア御用達ソフト インターフェイスを意識してみる

2006年03月01日作成 

「FD」と言うソフトウェアをご存知だろうか?

まだWindows は無くMS-DOS というOS が全盛だった時代に、恐らくはほとんどの人が一度は触ったことのあるソフトウェアである。先日そのFD の作者が亡くなられたそうである。それは多くの人にとって驚きだったに違いないし、同時にコンピュータの一時代が過ぎ去ったかのような感覚を覚えた方もいるかもしれない。

当時のFD の役割とは、今となっては特に珍しくも無いWindows のエクスプローラのようなものであった。しかし、これまで目的別のコマンド名入力、ファイル名入力を余儀なくされていたユーザにとっては、このようなソフトは革新的で一度使い出すともう手放せなくなるものであり、その後、数多くの類似ソフトを生み出した。
さて、この記事のテーマは技術者に役立つソフトウェアを紹介することである。しかし、ここで一旦、FD がなぜ当時それほどまでに広まったのか再確認してみるのはいかがだろうか。

ソフトウェアのユーザインターフェイス

ソフトウェアの使いやすさは、いかにユーザインターフェイス、つまりコンピュータと人間との間の橋渡し部分が優れているかにかかっているといえるだろう。しかし、初期のソフトウェアのユーザインターフェイスはコンピュータに関する詳しい知識を必須とするものであり、人に優しく直感的に操作できるという観点からは優れているとは言い難いものだった。


図1:FDのスクリーンショット

冒頭で述べたFD は、この点で非常に大きな一歩を踏み出し、ソフトウェアをより人間に身近な存在としたゆえに、多くの人の支持を受けたのだと考えることが出来ないだろうか。そして、こうした表現の進歩は現在のOS の一般的なユーザインターフェイス-「デスクトップ」と呼ばれる領域で、あたかも卓上で作業を行っているかのように書類を広げ、よく使う物を並べておき、いらないものを隅っこのゴミ箱に捨てること-の実現へと繋がっているのである。

インターネットへのインターフェイス

当時のFD のようなソフトウェアはこれからも登場するのだろうか。残念ながら、現在はオフィスソフトや仕事特有のソフトを除くと、OS付属の物で必要十分なことが多い。正直、机の上(デスクトップ)で新たにやることはなくなってきているのかもしれない。

しかし、まだ進歩の余地のある領域は存在する。デスクトップから頭を上げると既にそこには無限ともいえるインターネットの世界が広がっていないだろうか。つまり、単にコンピュータだけではなくインターネットへのインターフェイスという役割からソフトウェアに注目することが出来ないだろうか。
この点において、Firefox(http://www.mozilla-japan.org/products/firefox/)というWeb ブラウザは面白い存在といえる。このソフトウェアの特徴はなんと言ってもプラグインによる拡張性の高さだ。そこで、インターネットへのインターフェイスとしてFirefoxをいかに使いこなすか、という観点から拡張プラグインの幾つかを取り上げてみたい。

Firefox の拡張プラグイン

1.Sage
http://sage.mozdev.org/

RSS を知っていてもいまいちその有用性が分からない、使いこなしてないという方も多いだろう。いちいち専用のソフトをインストールするのは面倒だという意見があるかもしれないが、普段使うブラウザからアクセスできてしまえばその辺も気にする必要は無い。

良く閲覧するサイトがRSS に対応しているなら、虫眼鏡マークのボタンを押しRSS を登録してみよう。あとは、更新ボタンを押すことによって、そのサイトに直接アクセスしなくても、更新状況、内容を手っ取り早く確認できるため効率よく情報収集が出来る。使いこなすと結構便利なことに気づくはずだ。

2.ScrapBook
http://amb.vis.ne.jp/mozilla/scrapbook/

気になったサイトがあったとき通常はそのサイトをブックマークする。このプラグインは一歩進んで、そのページの複製を覚えてくれる。
どのような使い道があるだろうか。あるサイトの資料に気になる点があった場合、印刷して下線を引かなくても、ScrapBook のマーカー機能を使ってハイライトし、それを保存しておくことが出来るのだ。
最後に、まだ知名度は低いがインターネットへのインターフェイスという点で面白い拡張機能がある。腕に自身のある方は試してみて欲しい。

3.greasemonkey
http://greasemonkey.mozdev.org/
もともと、Web サイトの内容は受身のものであったが、このプラグインを使い、カスタム・スクリプトを読み込むことによって、対応するページの体裁を自分オリジナルのものに変更して表示できる。
スクリプトを自分で作成すれば、自分の見やすいようにサイトのレイアウトを変えたり、複数のサイトの内容を繋ぎ合わせたりする事が出来てしまうし、すでに多くの人がオリジナルのスクリプトを公開している。よく利用するサイトに、どうしても使いづらい部分がある場合など、工夫すれば自分の好きなように操作性や見た目を変更できる。つまり、あたかも自分のコンピュータのデスクトップをカスタマイズするかのように、Web サイトを「カスタマイズ」できてしまうのだ。

現在、インターネットと人間とをいかに便利に繋ぐかに多くの人は注目していると言えるだろう。そのための選択肢は非常に多岐にわたる。しかし、まずは普段最もよく使うWeb ブラウザに注目してみるのはいかがだろうか。何気なく使っているWeb ブラウザだが、それがインターネットへのインターフェイスであるということを意識してみよう。もしかしたら、FD のような後に大きな影響力を及ぼす事になるアイディアが生まれるきっかけになるかもしれない。   (K.T.)





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