ホーム  > X-plus >  ITコラム

この記事を印刷する この記事を送る はてなブックマークに追加する
テキストリンクコードを取得する

猿ジニア御用達ソフト そろそろタグの使い方に馴染んでおく

2007年08月01日作成 

PC内のファイルを探す時、大抵はそのファイルがどのディレクトリ 1に置いてあるか、ある程度記憶しており、多少の試行錯誤はあっても目的のファイルに向けて順次ディレクトリ階層を辿って行く。
しかし、そのファイルの場所を全く忘れていたり、存在が不確かだったりする場合はどうするだろうか。そのファイルを探し出す検索語句を頼りにファイルのサーチを行うことが多いだろう。

ディレクトリ管理の限界

ディレクトリ(ツリー形式)で情報を管理する場合、人が一度に把握しておける程度の情報量であれば、人間の記憶力・推理力を借りた非常に効率の良い作業が出来る。
しかし、情報量が多くなってくるとそうも行かなくなってくる。また、その情報をさまざまな側面から捉えて整理したい場合ディレクトリでは難しいことがある。
このような時に効果を発揮するのが、検索語句によるサーチである。実際、インターネット上の情報を探し出す作業は、ディレクトリ型から検索語句によるサーチに完全に移行したと言っても良いだろう。

タグを利用した情報の付加

しかし、サーチの利用にも限界がある。検索対象がテキストであれば良いが、映像、音声、画像データなどを言葉によって効率よく検索する技術は十分に発達していない。
この問題を解決する為に、最近インターネット上で広まりつつあるのが「タグ」である。タグとは、データを説明するためのキーワードの事で、これを1つ以上データに結びつけておくことによって、サーチの際あたかもテキストを探すかのようにしてデータを探し出すことが出来るようになる。
元々、メタデータという名前でこれまでも活用されてきたが、タグ(荷札)という親しみやすい呼び方や、シンプルに使えるよう工夫されてきたことにより利用が急速に広まっている。

 図 1 画像に3種類のタグを付けたイメージ
タグの利点は他にもある。サーチを行う際、どの検索語句を使うべきか試行錯誤が必要な場合があるが、タグの場合、特定の分類を表すタグをあらかじめ決めておけば、その分類を探したいときは迷わずそのタグを検索語句にしてサーチできる。また、それら決まったタグを集めて整理しておけば、あたかもディレクトリ管理のような形での利用も出来る。
このように、サーチとディレクトリ管理のいいとこ取りが出来るのもタグの利点である。

タグを利用したWebサイト

ここで、タグを利用した代表的なWebサイトを紹介したい。
・ flickr (http://www.flickr.com/)
写真を共有するコミュニティサイト
写真の分類にタグを利用している。
・ YouTube (http://www.youtube.com/)
動画を共有するコミュニティサイト
動画の分類にタグを利用している。

図 2 YouTubeで利用されているタグ
・ del.icio.us (http://del.icio.us/)
ソーシャルブックマークサービス
ブックマークが元々持っているテキスト情報はタイトル程度であため、それを補う為にタグが用いられている。

Google Bookmarksで実践

タグが使えるサービスの1つであるGoogle Bookmarks(http://www.google.com/bookmarks/)の利用を通してタグの利点の一部を体験してみる。
このサービスはGoogleツールバーをインストールすると使いやすい2。 ツールバーには下図のようなGoogle Bookmarkにアクセスする為の領域がある。
 例えば、オンラインショッピングサイトとして有名なAmazonをブックマークしてみる。Amazonのページを開いたら、ツールバーの星部分をクリックする。

すると星が黄色くなりブックマークが完了する。
ここでもう一度、星をクリックする。すると、ブックマークの編集メニューが表示されるので「新しいラベル…」を選択し、ラベル入力欄に「ショッピング」と入力しOKを押す。これで、Amazonのブックマークには「ショッピング」というタグが付いたことになる。
再び、星をクリックする。「新しいラベル…」を選択したら「ショッピング」に続けてカンマを打ち「巡回」と入力する。するとこのブックマークには「巡回」というタグも付いたことになる。
ここで、ツールバーの「ブックマーク」という文字をクリックしてみよう。

すると、ブックマークの分類階層として「ショッピング」と「巡回」が現れ、そのどちらにもAmazonが登録されていることが確認できる。
これは、タグを用いることによって、1つのブックマークを「ショッピング」と「巡回」という2つの側面から検索できるようになったことを示している。そして、タグの一覧を通してディレクトリ管理に近い形でのアクセスも可能であることが分かる。

タグの将来

インターネットでの利用が進んでいるタグだが、これからPCの中にも徐々に浸透してくるかもしれない。実際、PC内の資源にアクセスするための手段として、サーチを利用する方法が取り込まれつつあるのはインターネットと同じ流れである。情報量の違いもあるため、どの程度PC内で利用されるようになるかは分からないし、特定のアプリの中にとどまる可能性もある3。  だが、これからタグを利用する機会が多くなる可能性に備えて、データにタグを付けるという考え方自体に慣れておくことは損ではないだろう。(K.T)


脚注
注1.WindowsやMacOSではフォルダと呼ばれている。
注2.インストール方法は割愛する。
         入手先http://toolbar.google.com/intl/ja/
注3.タグを利用したメールソフト
          mozilla Thunderbird 2.0 (執筆時点ではbeta版)





ページトップへ戻る