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PHOTOSHOP WORLD COME TO JAPAN

2006年03月01日作成 

2005年11月9日(水)と10日(木)、日本初のイベントが品川プリンスホテルで開催された。「Photoshop World 2005 in JAPAN」。これまでアメリカで行われてきたイベントの日本初上陸だ。しかも、アメリカ以外での開催は日本が初めてと聞けば、Photoshopユーザーならずともワクワクするのではないだろうか。

Photoshop World とは

アメリカにあるNAPP (National Association Photoshop Professionals、http://www.photoshopuser.com/)が年2回開催する世界最大のPhotoshopイベント。これまでアメリカで14回開催されてきた。Photoshopの生誕15周年を迎えたことを記念し、日本での初開催となった。Photoshop Worldは、製品を紹介するというよりは、むしろテクニックやTIPSなどPhotoshopをいかに使いこなすかを、クリエーターやフォトグラファーに紹介するというイベントだ。今回は、キーノートに加えて30のコンファレンス、各社展示コーナーやEXPOシアターなども併設された。

キーノート

中央にボクシングのリングが設営されているキーノート会場。映画「ロッキー」のテーマ曲と共に、特製のTシャツを観客席に投げ込みながらの入場をもって二日間に渡るPhotoshopの祭典は幕開けした。2500名の座席はほぼ満席だ。
まずはじめに、アドビシステムズ社の栃谷宗央氏により、「Photoshopのお祭り」の開会挨拶と概要が説明された。

基調講演は、米国アドビシステムズ(Adobe Systems)社のKevin Connor(ケビン・コナー)氏による。Photoshopの歴史を振り返り、DTP(Desk Top Publishing)からスタートし、Webパブリッシングへと発展してきたと語る。さらにPhotoshopはデジタルカメラの普及と共に、デジカメ画像の現像から出力ワークフローに利用されるようになってきた。そうした市場ニーズに応えてPhotoshopは進化し続けている。また、アドビとしてはメーカー依存のRAWファイルから脱却するためにDNG(Digital Negative file format)を業界に向けて提案していると語る。さらに、Photoshop CS2の「Vanishing Point」「Smart Object」「ワークスペースメニューのカスタマイズ」などの革新的な機能の幾つかを紹介。加えて、フォトグラファーにとって有用な道具となるAdobe Bridgeを紹介。これは、Photoshopにあったファイルブラウザをベースにしたアプリケーションだが、Photoshopとは別アプリケーションとなり、スタンドアロンで使用できるようになった。さらにバッチ処理やRAWファイルの現像など非常に役立つ機能で拡充されている。

メインイベント 「Photoshop Fight」

ついに、メインイベントの「Photoshop Fight」(Photoshopファイト)に突入!会場にあるボクシングリングをよく見ると、リング上にはノートパソコンが載ったテーブルが二つ、向き合うように設置されているではないか。そう、このリング上でPhotoshopのテクニックやTIPSを競い合うのがPhotoshopファイトだ。勝者を決めるのは観客の拍手の大きさ。いかにもPhotoshopユーザーの心をくすぐるような演出だ。

日本初のPhotoshopファイトのリングに上るのは、NAPPの創設者であり会長、Photoshop User誌(年8回発行)の編集長も務めるScott Kelby(スコット・ケルビー)氏。ケルビー氏はトレーニング中のボクサーのようにフード付きスウェットパーカーを着ている。対戦相手は、Photoshopの伝道師、米アドビシステムズ社のラッセル・ブラウン(Russell Brown)氏だ。ブラウン氏は初代Photoshop開発者の一人で、過去のPhotoshopイベントでスターウォーズやマトリックスをパロディーにしたプレゼンで聴衆を楽しませてくれた。彼の熱狂的なファンも少なくない。今回は猿のイラストのTシャツにオレンジのボクシングトランクス、それに白黒ストライプのタイツを着用。頭にはハチマキをしている。このあとどんな展開になるか楽しみだ。そして、レフリーはPhotoshopイベントでお馴染みの遠藤悦郎氏が務める。

ゴングが鳴り(カーン!)いよいよ戦いが始まった。TIPSが紹介されるたびに会場内にはどよめきが起こり拍手が鳴る。実用的なTIPSを披露するケルビー氏に対し、相変わらずのジョークと人目を引くテクニックで応戦するブラウン氏。二人の攻防は熾烈を極める。(途中からはそのテクニックに魅入ってしまい、すっかりメモし忘れてしまいました)。

スコット・ケルビー氏が紹介したTIPSの一つは、「調整レイヤーを使い補正結果を簡単に他の画像に適用する」方法だ。

1.調整レイヤーを使って画像補正を行う(サンプル1)

例えば、調整レイヤーのレベル補正を選択。レベル補正ダイヤログにある3つのスポイトツールを使って、画像上の黒点、グレー点、白色点を設定して明るさを補正する。
2.補正済み画像の調整レイヤーを、同じ補正を適用したい画像にドラッグ アンド ドロップする(サンプル2)
3.調整レイヤーをドロップした画像に明るさ補正が適用される(サンプル3)
対するラッセル・ブラウン氏のTIPSには「レイヤーカンプを切り替えることによってアニメーションのような効果を演出し、それをPDFスライドショーに書きだす」「レイヤーのノックアウトオプションを使って下のレイヤーを暴く」方法などがあった。
ちなみに勝敗はというと、拍手の量では五分五分といったところだったが、ブラウン氏が拍手を稼ぐために、Tシャツを観客に投げ込むなどの賄賂をしたということで反則負け。日本における初代チャンピオンの栄光はケルビー氏のものとなった。







 

コンファレンス

「Photoshop World 2005 in JAPAN」では、30のコンファレンスが開催された。第一線で活躍しているクリエーターやフォトグラファーによる体験談やデモを交えた実践的な内容のセミナーだ。

多くの人がデジタルカメラを使って家族、恋人、友人といった人物を撮影しているのではないだろうか。写真家の野村誠一氏も仕事の4割がデジタルになったと語っていた。しかし、デジタルの無機質さから、自然な肌を表現できるアナログに帰ることがあるという言葉は興味深かった。また、写真家にとってライティングは大変重要な要素だが、Photoshopにより簡単に太陽光源を増やせるのでライティングが楽になったと言う。

二日間に渡る日本発の「Photoshop World 2005 in JAPAN」は盛況のうちに幕を閉じた。このイベントを通して、Photoshopの持つ可能性やテクニックに触れることができ、刺激を受けた参加者は少なくなかったに違いない。来年も開催されるようであれば、Photoshopユーザーの方には出席をぜひお勧めしたいと思う。
( K.N )



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