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【リレーコラム:XMLの今と未来】 XMLの文化と分化

2001年12月18日作成 

中山 幹敏


 先回のコラムの筆者は、ヤクルト・スワローズの優勝とXMLを使用したシステム構築とを(無理やり?)対比しながら、XML利用の「適材適所」について論じた。

 さて、今回はXML利用の「適材適所」に背景にある文化論(?)について考えてみたい。『大辞林』によれば、「文化(culture)」とは「社会を構成する人々によって習得・共有・伝達される行動様式ないし生活様式の総体」である。「言語・習俗・道徳・宗教、種々の制度などはその具体例」といえる。どんな技術であっても、その技術を生み出してきた人々の価値観、その技術の前提や派生元となった原技術、技術のニーズを生み出した時代の背景や流行、独自の利用形態などが反映されているものである。それが「様式(mode)」として明確に差別化されたものといえるようになるとき、その技術の「文化」が成立していると考えてもよいだろう。XML利用の「適材適所」が論じられるということは、XML利用の「様式」が存在することの証しでもある。

 XMLを開発してきた人々の「価値観」は比較的明確である。それはインターネット上で「交換可能な」データ形式を開発することである。しかも、それは「汎用性」、「柔軟性」、そして何よりもシンプルでシステムに負荷をかけないものになるべきだった。ここには「交換」という本質が最初から存在していた。

 また、XMLの原技術といえるのは、もちろんSGMLである(注1)。SGMLの何よりも重要な要素は、「文書型(Document Type)」である。文書型が存在し、そのインスタンスとしてSGML文書がある、というのが本質である。XMLはこの「文化」を受け継いでいる。同時に、XMLの登場がHTMLの「大流行」とそれによるHTMLの限界の克服という課題を背負っていたのはいうまでもない。したがって、XMLはHTMLと同様の「マークアップ言語」でなければならなかった。

 このように考えてくると、XML利用の「適材適所」が、データベースにおけるデータの「保存形態」ではなく、データの「交換形態」であるというのは自然の成り行きである。XMLの「文化」、XML利用の「様式」の特性がここに表れている。(注2

 ところで、「文化」というのは、一定のところに留まりつづけるものではない。むしろ、ダイナミックに発展し、変化してゆくものである。XMLはどのように「変化」するのだろうか。その主な鍵となる視点は、次の二つであると考える。



  • ● XMLテクノロジーとしての発展
  • ● XMLの分化


 ここでは、XMLテクノロジーとしての発展については、小稿では大きすぎる課題であるため論じない。(注3)むしろ、「XMLの分化」という側面について考えてみる。

 「分化(differenciation)」とは、再び『大辞林』によれば、「単純なもの・等質なものが、複雑なもの・異質なものに分かれてゆくこと」である。「学問の分化」というような言い方をする。また、生物の場合、細胞がそれぞれ特異な役割を果す器官に成長してゆくことを意味する。

 XMLの「分化」には、二つの側面がある。一つは「専門化」という意味での「分化」である。汎用的なXMLとしてではなく、専門的なデータを記述し、交換するためのマークアップ言語として深耕してゆくという側面である。たとえば、財務情報サプライチェーンを実現するXBRL(eXtensible Business Reporting Language)やWebサービスのディレクトリサービスを提供するUDDI(Universal Description, Discovery, and Integration)やWebサービスのインターフェイス仕様を記述するWSDL(Web Service Description Language)などは、XMLが専門化して「分化」していった例である。こうして分化したXMLは、独自の「文化」や利用「様式」を発展させてゆく。(注4

 XMLの「分化」の別の側面は、XMLが持つ本質的な要素の個別の発展である。XMLには、SGMLから受け継いだ「文書型」を定義する「メタ言語」としての特質と、「文書型」にしたがって記述する「マークアップ言語」としての特質がある。この異質なものの発展、特に「メタ言語」としての発展が一つの「分化」となる。たとえば、XML SchemaやRELAXなどの「メタ言語」機能の独自の発展はXMLの「文化」をより豊かにすると共に、インスタンスを記述するためのXMLという側面をより鮮明に打ち出すことになる。(注5



図1 XMLの分化と新たなXMLの文化の登場

 XMLの分化が進むことにより、XMLの「適材適所」は見直さなければならないかもしれない。その点でわれわれは柔軟であるべきだろう。しかし、本質的な「交換」というXMLの文化特性が失われない限り、XMLの基調をなす文化の上に発展する技術はインターネット時代に有効な技術でありつづけるであろうことは変わらない。


注1:SGMLについては、本サイト「SGML再入門」を参照。
注2:データベースとXMLは「文化」が異なる。データベースのXML対応については、『Digital Xpress』Vol.6(2001年12月発行)の「データベースとXMLの関係」という記事を参照。
注3:XMLテクノロジーについては、日本ユニテック編著「改訂版 標準XML完全解説(下)」の第1章を参照。
注4:XBRLについては、『Digital Xpress』Vol.6(2001年12月発行)の、湯浦克彦「財務情報サプライチェーンを実現するXBRL」という記事を参照。UDDIとWSDLについては、『Digital Xpress』Vol.2(2001年4月発行)の、「e-commerce大解剖:UDDIとWSDL」という記事を参照。
注5:XML Schemaについては、『Digital Xpress』Vol.5(2001年10月発行)から連載が始まった「XML Schema達人への道」という記事を参照。



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