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【リレーコラム:XMLの今と未来】 XML関連書籍の「出版ブーム」はいつまで続くか

2001年05月17日作成 

中山 幹敏


今、コンピュータ関連書籍で「出版ブーム」の一つになっているのがXMLである。XML関連書籍は毎月のように出版されて、店頭に並んでいる。大きな書店の中には、「XML」コーナーを設けているところもある。数年前では考えられない状況である。

XML関連書籍がどれくらい出版されているのか、オンライン書店のアマゾンの日本サイト(http://www.amazon.co.jp)で、「XML」をキーワードとして書籍の検索を行ってみた。すると、検索結果に表れたのは87冊の書籍であった(2001年5月10日現在)。さらに、比較のため、同じ日に米国のアマゾンのサイト(http://www.amazon.com)で同じ検索を行ってみたが、検索されたのは223冊もの書籍であった。しかも、これらの出版が、おそらくここ1~2年のものであることを考えると、米国はもとより、日本においてもXML関連書籍の出版に勢いがあることがわかる。

どんな書籍があるのだろうか。アマゾンでは、検索結果を「売れている順番」で表示することができるが、87冊の内、上位10冊は次のとおりの結果であった。

順位
書 名
著者
出版日付
出版社
価格
1
図解でわかるWeb技術のすべて―HTTPからサーバサイド構成まで 小泉修
2001/3/1
日本実業出版社
2,500
2
Webデザイン・マナーブック
-ページ制作の作法&テクニック事典
エ・ビスコム・テック・ラボ
2001/3/1
毎日コミュニケーションズ
2,400
3
これから始める人のXMLガイド
-この1冊でXMLの本質がわかる!
日経ソフトウェア他(編)
2001/1/1
日経BP社
1,400
4
プロフェッショナルPHPプログラミング ジーザスカスタニェト他
2001/3/1
インプレス
5,200
5
標準XML完全解説 XML/SGMLサロン
1998/5/1
技術評論社
2,280
6
XML/DOM programming
-For JAVA programmers
浅海智晴
2001/4/1
秀和システム
5,200
7
ASP300の技 Windowsプログラミング愛好会
2000/10/1
技術評論社
1,980
8
改訂版標準XML完全解説(上) 中山幹敏・奥井康弘(編著)
2001/3/1
技術評論社
2,280
9
XML world(第1弾) 月刊Java World編集部
2001/3/16
アイ・ディ・ジー・ジャパン
1,419
10
図解でわかるXMLのすべて
-文書の構造&データベース連携
高橋麻奈
2000/11/1
日本実業出版社
1,800

この中でコラムニストが関与した旧版の「標準XML完全解説」、「改訂版標準XML完全解説(上)」が入っているのは個人的にうれしいことである。

さて、このリストを見ると、XMLが文書記述言語から、プログラミングの対象となるビジネスデータの記述言語として認知されていることがわかる。現在の動向は、「XMLとは何か」という視点から、「XMLをシステム構築やプログラミングでどう使うか」という実践的な視点に移っている。この傾向は、今年になって出版されたXML関連書籍のタイトルに表れている。以下に、そのいくつかをアマゾンのXML関連の売上30位以内から拾ってみよう。


順位
書 名
著者
出版日付
出版社
価格
6
XML/DOM programming
-For JAVA programmers
浅海智晴
2001/4/1
秀和システム
5,200
12
JSPによるWeb開発
-サーブレットアーキテクチャを利用した新しいコンテンツ開発技法
ドゥエイン・Kフィールド他
2001/3/1
翔泳社
5,800
13
XMLデータベースによるWebアプリケーション開発 メディアフュージョンXMLラボ
2001/3/1
ソフトバンクパブリッシング
2,900
15
プロフェッショナルXML Didier Martin
2001/5/1
インプレスコミュニケーションズ
5,980
16
今日からつかえるXMLサンプル集 山田祥寛
2001/3/1
秀和システム
2,800
17
XMLとJavaによるEAI
-エンタープライズアプリケーション統合の実装
J.P.モーゲンサル他
2001/3/1
ピアソン・エデュケーション
4,000
19
XMLバイブル エリオット・ラスティハロルド
2001/2/1
日経BP社
6,000
20
Java2によるXML開発技法 マイケルCダコンタ他
2001/4/1
ピアソン・エデュケーション
1,800
24
XMLによるEC構築技術 森田勝弘他
2001/2/1
ソフト・リサーチセンター
2,400
26
ORACLE XML ハンドブック ベンチャン他
2001/3/1
翔泳社
3,800
27
Oracle XML アプリケーション構築 スティーブミンチ他
2001/4/1
オライリージャパン
6,500

この表を見ると、XMLをプログラミングで具体的にどう使うかについては、現在のところ翻訳物が多いことに気付く。日本人の執筆者による書籍は、いくつか登場しつつあるが、本格化するのは今後だろう。一般に、プログラミング技術解説分野での翻訳書の特徴は、図表が少なく、ひたすら文章で説明するというスタイルにある。しかし、日本人にとっては、図や表、簡潔なサンプルで説明するスタイルの方が向いているように思える。文化の違いだろう。その意味においても、日本人のスタイルに合った解説書の登場をさらに期待したい。

さらに、現在、XMLテクノロジーの規格の更新は急速なスピードで行われており、出版時点ではもう解説している内容が古くなっているという危険もある。この点に注意して読む必要がある。

このXML関連書籍の出版ブームは今後数年続くと考えられる。XMLテクノロジーを構成する様々な規格は、まだ完成の域に達しておらず、作業が続き、発展していくからである。特に、次の規格はこれから解説書の出版が期待される分野である。

  • プログラミング:DOMレベル2、DOMレベル3、SAX2
  • プログラミング:XPath、XSLT
  • スキーマ定義(データ設計):XMLSchema
  • リンク:XPointer、XLink

また、XML関連の様々な規格をどのように組み合わせて使用できるかという視点からの方法論と、システム開発の工程の中でXMLのデータ設計から実装をどのように組み込めるかという視点の方法論も必要になる。

こうした点を考えると、ここ数年はXML関連書籍の出版は続くだろう。しかし、XML関連書籍の今後の一つの傾向は「専門化」が進むことである。それぞれのXML関連規格は一つ一つが大きな仕様であるため、一冊の書籍ですべてを詳細に論じるには限界がある。「専門化」により対象読者層が限定されていくため、出版の採算性に影響するようになるかもしれない。これはXML関連書籍の「出版ブーム」のブレーキになる。

また、今後のもう一つの傾向は「総合化」である。それぞれのXML関連技術をどのように使用できるかという方法論を総合的に論じるものである。しかし、これは何冊も出版する必要があるわけではなく、教科書的な数冊に絞られてくるだろう。

むしろ、今後期待できる分野は、Webプログラミング、BtoB、ECその他の分野を解説する書籍の中でXMLをどのように使用できるかについて論じる書籍だろう。切り口はXMLではなく「応用分野」である。XMLは一部の解説に含まれるだけである。このようにXMLが従属的な位置で解説されるようになるとき、この書籍は「XML関連書籍」といえなくなるだろう。この時点で、XML関連書籍の「出版ブーム」は終わるのかもしれない。

これはXMLの「出版ブーム」の終わりであり、XML技術の終わりではない。むしろ、XML技術が次のステージに発展したことの証しである。現在、飽和状態に近づきつつある「XML関連書籍」の出版状況について、コラムニストはこう考える。




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