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そもそも株って何だろう!?

2006年03月01日作成 

Katsuyoshi.N


株式市場が活況を呈している。日経平均株価は5年ぶりに1万5千円を超え、先行きについても強気の見方が多い。1980年代に発生したバブルとの類似性を指摘する声もある。巷には、株式投資でいかに儲けるかというハウツー本があふれている。今回は、そもそも株とは何なのか、株の値段はどうして決まるのか、最近の株式市場ではどのような変化が起きているのか、駆け足でみていこう。

株式と株式会社制度

株式とは、株式会社という会社組織に対する出資金であり、株式を持つ人が株主といわれる。株主は会社の最高意思決定機関である株主総会に出席し、会社にとって重要な決定に際して議決権を行使することができる。また、会社が稼いだ利益に対し配当を受ける権利を持つ。株主は株式を売却することによって簡単に株主の立場を離れることができるし、万が一会社が倒産しても、出資額以上の責任を負うことはない。そして、実際の会社経営は株主総会で選任した経営者に委ねられる。以上が株を媒介とした株主と会社の基本的関係である。

こうした制度の起源は1602年にオランダで創設された東インド会社にさかのぼる。当時、東インド貿易には多額の資金が必要であったが、これを集めるために、小口に分割した株式を発行し、数多くの人々から出資を募る仕組みとして考えられたのが株式会社であった。会社は多額の資金調達が可能になり、株主は余裕資金を投資することによって、会社経営から得られる利益の配分にあずかることができる。やがてこの制度は世界に広まり、現在の資本主義の基礎となっていく。

証券取引所と証券会社

実際の株の売買は証券取引所で行われる。東京証券取引所や大阪証券取引所には、日本を代表する会社の株式が上場され、日々自由な売買を通じて株価が形成されている。ところで私たちは、証券取引所に行って直接株を買ったり、売ったりはできない。必ず証券会社を経由しなければならない。証券会社は売り手と買い手の仲介役である。みずほ証券が株式の注文を間違ってしまい、更に東京証券取引所のシステム不具合により取引のキャンセルができず、株式市場が大混乱に陥った事件は記憶に新しいが、一日に膨大な株式売買が行われるなか、証券取引所や証券会社のシステムは株式市場のインフラといえる大変重要な機能を果たしている。

株価はどのように決まるのか

株価は、株式市場における需要と供給の関係で決まる。基本は他の商品と変わりない。売りが多いときには株価は下落し、買いが多ければ上昇する。こういってしまうと単純だが、株価の決定要因は複雑である。数多くの理論や経験則に基づく予測法があるが、決定的なものはない。いずれにしても買い手がいれば、そこには必ず別の思惑を持った売り手が存在する。とまれ、株価に影響を与える要因を大雑把に整理すると、下記の表のようになろう。

株式市場における最近の動き

上場会社の株主構成は最近大きく変化している。これまで安定株主として企業の株を大量に保有していた銀行がその株を売却する一方、年金資金など機関投資家のウェイトが上がっている。村上ファンドなど内外の各種ファンドの動きも活発である。また、インターネット取引が可能になり、売買手数料もどんどん下がっているため、一日に何度も売買を繰り返すいわゆるデイトレーダーと呼ばれる個人株主が増加している。

企業買収など会社の支配権を巡る動きが活発なことも最近の特徴である。企業の株式の過半数を握れば、実質的にその会社を支配できる。そのうえで会社のリストラを行い、または含み益を実現して企業価値を上げ、株価が上昇したところで株を売却して利益を得る。海外ファンドの基本的投資行動だ。あるいは自らが行っているビジネスとの融合をし、トータルの企業価値向上を図っていく。楽天やライブドアの動きがそれだ。一方、敵対的な企業買収を恐れる企業は、様々な防衛策を講じ、銀行に替わる新たな安定株主づくりに奔走している。
 日本の株式市場は新たな秩序を求めて大きな変化を遂げつつある。変化の過程で行き過ぎはつきものだ。株式市場の動きで企業経営がかく乱される心配もある。しかし、過度な規制をかけることは資本主義の自殺行為である。新たな秩序は自由競争の中から生み出すしかない。株式市場の成熟度は、日本型資本主義の成熟度を映す鏡なのかもしれない。

 


1.経済外的要因
国際情勢や国内の政治情勢の変化などである。戦争の勃発や新技術の発明などでも株価は大きく変動する。
2.マクロ経済要因
会社を取り巻く経済環境の変化で、GDP成長率や物価上昇率、金利水準、為替相場などである。株式投資に興味を持つ人は、景気の動きに敏感でなければならない。
3.会社の収益要因
当然ながら、当該企業の収益力や配当・業績見通し、増資の計画(株式の供給増加を意味する)、新製品開発動向なども株価に影響を与える。

 



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