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ビジネスコーナー:XMLの可能性

2010年06月17日作成 

XMLの可能性
B2B(企業間電子商取引)におけるXML
(株)日本ユニテック
村上 泰介


概要

この記事ではロゼッタネットジャパンの概要と今後の展開について説明します

イントロダクション

企業間電子商取引(B2B)において、XMLデータでメッセージ交換を行うための規格は幾つかあります。たとえば、BizTalk(http://www.biztalk.org/)、RosettaNet(http://www.rosettanet.org/)、ebXML(http://www.ebxml.org/)などは一度は聞いたことがあると思います。しかし、これらの規格が話題にはなっていても、「アメリカの企業が中心であって、日本企業のB2Bにはそのまま適用できるものではない」とか、「実際にその規格で取引きしている日本企業はあるのか」と考えておられる方も多いでしょう。
そこで、今回は日本企業におけるB2BのXML応用規格の導入事例として、RosettaNetの日本での提携組織であるロゼッタネットジャパン(RNJ: RosettaNet Japan)(http://www.rosettanet.gr.jp/)と、その会員間でRosettaNet標準を実装してパイロット運用を行うEConcertについて考えます。

ロゼッタネットジャパン

ロゼッタネットジャパンの目標や役割は、米国のロゼッタネットと基本的に同じですから、ロゼッタネットについてまず説明します。
ロゼッタネットは、ITおよび電子部品業界における効率的なグローバルサプライチェーン構築を目指してB2Bのための標準化・実用化推進を行うコンソーシアムです。ロゼッタネットの定義する規格は、全体的なフレームワークであるRNIF(RosettaNet Implementation Framework)と、ビジネスプロセスごとにメッセージ交換のルールやスキーマを定めたPIP(Partner Interface Processes)と、使用するボキャブラリの辞書(Dictionaries)で構成されます。ロゼッタネットには、ITおよび電子部品業界を中心に約300社の米国企業・団体が参加しています。
ロゼッタネットジャパンも同様の目標や役割を担うコンソーシアムで、ロゼッタネットの定義する規格を用いています。発足したのは2000年4月24日で、参加する日本企業はITおよび電子部品業界を中心に現在65社となっています。

Econcert

EConcertとは、会員間でRosettaNet標準を実装してパイロット運用を行うプロジェクトのことです。ロゼッタネットの米国企業間では既に行われていますが、ロゼッタネットジャパンでは、2000年10月10日に開始されました。このプロジェクトは来年の3月末まで行われて、実用化の検証と導入効果の検証がされます。
IT業界の企業では、メーカー、卸、販売店、ユーザー、与信・決済機関からなる計11社が、次のような適用業務のパイロット運用に参加しています。

販売側 適用業務 購入側
三和銀行 アカウントセットアップ関連(1A1) NTTコミュニケーションズ
日本ユニシス 製品情報関連(2A1) NTTコミュニケーションズ
ダイワボウ情報システム 製品情報関連(2A1) NTTコミュニケーションズ
大塚商会 製品情報関連(2A1) NTTコミュニケーションズ
ソフトバンク・コマース 製品情報関連(2A1) 大塚商会
マイクロソフト 製品情報関連(2A1) 大塚商会
マイクロソフト 製品情報関連(2A1) ポータル
NEC 製品情報関連(2A1) 大塚商会
NEC 製品情報関連(2A1) ダイワボウ情報システム
ヨドバシカメラ 受発注関連(3A4) SAPジャパン

電子部品業界の企業では、部品供給メーカー、組立メーカーの計10社が、次のような適用業務のパイロット運用に参加しています。

販売側 適用業務 購入側
三菱電機 製品情報関連(2A1) 沖電気工業
沖電気工業 製品情報関連(2A1) 三菱電機
三菱電機 製品情報関連(2A9) 沖電気工業
沖電気工業 製品情報関連(2A9) 三菱電機
日本航空電子工業 製品情報関連(2A9) NEC
サムソン(韓国) 受発注関連(3A4) ソニー
京セラ 受発注関連(3A4,7) 富士通
インテル 受発注関連(3A4,7) NEC
インテル 受発注関連(3A4,7) 日立製作所
インテル 受発注関連(3A4,7) 日本IBM
インテル 受発注関連(3A4,7) ソニー
日立製作所 設計登録の要求(5C2) AVNET(米国)

上の2つの表の適用業務のカッコは、ビジネスプロセスごとにメッセージ交換のルールやスキーマを定めたPIPを表わしています。PIPは大まかに次のように分類されます。
Cluster 0. RosettaNet Support (RosettaNetのサポート)
Cluster 1. Partner, Product and Service Review(調査・計画)
Cluster 2. Product Introduction (製品情報)
Cluster 3. Order Management(受発注管理)
Cluster 4. Inventory Management(在庫管理)
Cluster 5. Marketing Information Management(マーケティング情報管理)
Cluster 6. Service and Support(サービス・サポート)

EConcertの適用業務には3A4というのがありましたが、これはクラスター3のセグメントAの4番目のPIPということです。PIPについてはここでは詳しくは述べませんが、たとえば3A4のメッセージ交換は、次のようになります。

3A4では、この図にあるように、4種類のメッセージのスキーマやプロセスについて定義されています。他のPIPについても同様です。EConcertは、このようにPIPにしたがってメッセージ交換を行っているのです。

ロゼッタネットジャパンの今後の展開

ロゼッタネットは、B2Bの標準化団体のなかでメジャーな存在で、その規格も比較的に完成度が高いといえます。また、EConcertによって実際に検証し、フィードバックによって規格の改良が行われています。
ただ、PIPの相互の整合性や、また最初にも述べましたが日本企業のB2Bへの適用という点で、ロゼッタネットの規格を、そのままロゼッタネットジャパンで利用することには問題があると思われます。この点については、ロゼッタネットジャパンのワーキンググループが日本案の策定に取り組んでおり、より実用的なものとなるでしょう。
ロゼッタネットは、サプライチェーンの構築を目的とすることから、ITおよび電子部品業界にとどまらず他の業界にも適用されていきますので、ロゼッタネットジャパンもそのような方向に進むとみられ、今後さらに多くの日本企業が参加するものと予想されます。





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