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スタンダーズコーナー:W3C規格解説 「OWL」

2003年03月31日作成 

W3C規格解説
OWL (Web Ontology Language)
   

(株)日本ユニテック
青木 秀起

Webオントロジー言語「OWL」とは、Web上のデータで使用するオブジェクトのクラスとその関係を定義した分類と、オブジェクトを推論してゆくための規則を定義するものです。OWLは、セマンティックWebの主要な柱とされている技術です。OWLの仕様書は複数に分かれており、すべてワーキングドラフトの段階にあります。 (http://www.w3.org/2001/sw/WebOnt/)

セマンティックWebとは?

セマンティックWebとは次世代のWebです。これまでのWebはブラウザで表示して人間が見るためのデータが主でしたが、セマンティックWebのデータは、さまざまなアプリケーションがデータの意味を理解し、自動的に処理し、データの統合と再利用を行えるようになることを意図しています。セマンティックWebはプログラムが理解できる情報を提供するWebなのです。セマンティックWebは主に次の3つの段階によって実現されます。

①XMLでデータを記述する。
②RDF、RDF Schemaでデータの「抽象的な意味」を記述する。
③オントロジー言語で「抽象的な意味」を定義する。

これまでもDTDやXML Schemaによって事前に要素名や属性名を知っていればデータを処理することができました。しかし、事前に知らされていないデータを処理することはできませんでした。また、同じ用語が異なるコンテキストで異なる意味で使用されたり、異なる用語が同じ意味で使用されることもあります。こうした問題をRDFとOWLで解決しようというのです。


図1 セマンティックWebのアーキテクチャ
http://www.w3.org/2000/Talks/1206-xml2k-tbl/slide10-0.htmlより引用)

RDFとOWLの関係

RDFは、XMLのタグの意味を説明するためのデータ、つまり「メタデータ」を定義します。RDFでは、「A(リソース)のB(プロパティ)はC(リテラル)です」という形で記述します。たとえば、XMLデータPにあるXというタグ名と、XMLデータQにあるYというタグ名が両方とも「Z」であるとそれぞれのRDFで定義されていれば、<X>と<Y>は名前が違っても同じ意味を持つ情報単位であると解釈できます。

しかし、この意味解釈を成功させるためには、RDFだけでは不十分です。「Z」の意味をプログラムが正しく理解できなければなりません。この「抽象的な意味」を定義して共有するための技術がOWLです。

例として、仕様書に載せられているサンプルを紹介しましょう。

<owl:Class rdf:ID="Pasta">
  <rdfs:subClassOf rdf:resource="#EdibleThing"/>
  <owl:disjointWith rdf:resource="#Dessert"/>
  <owl:disjointWith rdf:resource="#Fruit"/>
</owl:Class>

これは、「Pasta(パスタ)」というクラスは、「#EdibleThing(食べ物)」のサブクラスで、「#Dessert(デザート)」や「#Fruit(フルーツ)」とは別物であることを定義しています。

-OWLの使用例-

2002年7月8日に公開されたワーキングドラフト「Requirements for a Web Ontology Language」には、以下の6つの使用例が載せられています。

①Webポータル・サイト
②マルチメディア・データ
③企業内のWebサイト管理
④飛行機の設計書などの巨大な技術文書
⑤知的エージェント
⑥ユビキタス・コンピューティング

まとめ

最近、Webサービス開発の主役の座をOASISにすっかり奪われた観のあるW3Cですが、セマンティックWebの開発にも数年前から力を注いでいます。セマンティックWeb実現の鍵をにぎる重要な技術RDFとOWLに注目です。




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