W3C規格解説
WebCGM 1.0
(株)日本ユニテック
青木 秀起
WebCGMとは、Web上でCGM(Computer Graphics Metafile)画像を表現/交換/ハイパーリンクするための仕様で、W3CとCGM
Open Consortiumによって共同で開発されました。WebCGMの元となったCGMは、1987年にISO標準 (ISO/IEC
8632:1992) となり、1995年MIMEタイプに登録されました。そして1999年1月に「WebCGM Profile」がW3Cの勧告として公開され、2001年12月17日、修正版であるWebCGM
1.0 Second Releaseが公開されました。
WebCGMとは何か?
これまでWeb上のグラフィックはGIF、JPEG、PNG等のラスター・イメージでやり取りされてきましたが、WebCGMは、直線や曲線等のベクトル・グラフィックで表現しようとする2D
Webグラフィックです。ベクトル・グラフィックで表現することには、以下のメリットがあります。
・画像品質を落とさずにサイズを変更できる。
・ファイル容量が小さくなり、転送速度が速い。
・グラフィックの変更や操作が容易。
・検索が容易にできる。
WebCGMの構造は次のようになっています。
「ピクチャ」がWebCGMファイルの基本的な構成要素です。それぞれの「ピクチャ」はCGMグラフィック要素で構成されます。「グラフィック要素」は、グラフィック・オブジェクト、レイヤ、段落、サブ段落の4つのタイプのグループに分類されます。そして「ピクチャ」は他の記号ライブラリ・メタファイル中で使用することもできます。「ピクチャ」のサイズや色などのプロパティは、「ピクチャ記述」部分に含められます。
SVGとの違いは?
W3Cが開発した2D Webグラフィック仕様には他にSVGがあります。同じ2Dグラフィック仕様であるSVGとどこが違うのでしょうか?SVGはフォントや色等を自由に変更することができ、アニメーションを始め高品質なグラフィック表現に向いています。一方WebCGMは、Web上での交換を意識したもので、グラフィックスが多い製造関連の電子マニュアル等の複雑で大容量のイラストに向いています。電子文書や地理データ等の、長い保存期間が要求される技術文書に向いています。ですから、SVGとWebCGMとは互いに補完し合って共存してゆくことが期待されています。
まとめ
WebCGMをサポートしている製品は、IsoDraw5 (ITEDO SoftWare)やiGrafx Process((株)サンプラニングシステムズ)など数少なく、まだまだこれからと言えるでしょう。
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