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FrameMaker攻略術:第2回 FrameMaker6.0の新機能

2002年11月15日作成 


(株)日本ユニテック
天野 忍

いよいよFrameMaker(以下FM)の次期バージョン,FrameMaker Ver.6.0(以下FM6.0)がリリースされた。今年のアドビ社はメジャー製品のバージョンアップを多く行っているが,その中にFMも忘れずに含まれていたことは,このプロダクトに関わる者にとって朗報として伝わったことだろう。

しかし,時としてツールのバージョンアップが諸手をあげて歓迎されないのも事実である。大幅なワークフローや手順の変更を余儀なくされたり,初期のバグによってパッチが出るまで使い物にならないといった経験をされた方も多いのではないだろうか。

では,FM6.0はどうなのだろうか。数回に分けてFM6.0のレポートをお届けしようと思う。今回はまず新しく追加された機能がどのようなものなのかについて報告する。

・ブック機能の強化実装

1.新規作成ブックの簡略化

FrameMaker5.5(以下FM5.5)では,既存の文書ファイルをもとにブックを作成する必要があったが,FM6.0からはファイルメニューから直接ブックを新規作成することができるようになった。これにより,文書ファイルが存在しない状態でもブックの作成ができるようになった。

2.ブックウィンドウの機能拡張

FM6.0からはブックウィンドウにファイルをドラッグアンドドロップで追加できるようになった。Windowsの「エクスプローラ」などで表示されたファイルをそのままブックウィンドウにドラッグし,ブックファイルにファイルを追加することができる。また,ブックファイル内での順序の入れ替えもドラッグアンドドロップで直感的に操作できるようになった。

さらにブックウィンドウ下部に4つのボタンが新しく追加され,ファイルの追加・削除・更新に加えて,ファイルの見出しへの表示変更などをワンクリックで可能にしている。




また,ブック内のファイルを選択すると,ブックウィンドウのステータスバーに,そのファイルのページ番号が表示されるのも,細かい点だが使い勝手をよくする機能のひとつだろう。

3.ブック全体の検索・置換

以前から要望の多かったブック全体の検索・置換機能がFM6.0で実現された。ブックウィンドウから検索・置換を実行すると,検索の範囲として「ブック」を指定することができ,個々のファイル中で検索対象を見つけると,自動的にその文書が開き,検索個所が反転して表示される。

WebWorks Publisher Standard Edition(以下WPSE)の実装

FM6.0では,Quadralay社の WPSEが同梱された。WPSEはHTML+CSS,XML+XSLなど4種類のファイル形式をサポートし,FM文書をこれらのオンライン文書形式に変換することができる。これまでにもFMの標準機能でHTML書き出しなどがサポートされていたが,WPSEによりページの詳細なレイアウトなど,より高度な機能が使用できるようになった。

XML形式での保存

FM5.5.6から採用されていたXML形式での保存に正式に対応した(ただし,段落タグをそのままXMLのエレメントに変換するのみで,細かい変換のルールなどは設定できない)。XMLファイルとして保存すると,レイアウト用のCSSファイルが自動的に生成される。

PDF形式での保存

Acrobat Distiller 4.0が同梱され,PDF作成環境がさらに強化された。構造化PDFファイルの作成が可能になり,構造の定義や文書情報の設定,リンクの設定が容易に行える。また,Acrobat 4.0から日本語フォントの埋め込みも可能になっているので,オンラインでの表現力が豊かになっている。



目次や索引の自動生成

目次や索引の生成は,[スペシャル]メニューからファイル単位で行うことができるようになった。今まで章目次などで苦労することも多かったが,これにより簡略化されることが予想される。



テキスト読み込みフィルタの追加

新たにMicrosoft Word 2000などのファイルを開けるようになった。FM6.0では,テキストや表など,50種類以上のファイル形式がサポートされている。

ざっと挙げただけだが,使ってみたい機能がいくつか含まれていたのではないだろうか。概略を見る限り,今回のバージョンアップはユーザーの側に立脚した,よい意味でのバージョンアップだと感じる。引き続き検証し,このコラムの中でお伝えしていくつもりだ。





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