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日本ユニテック嘱託産業医
村田 千里 先生
最近テレビや雑誌で話題にのぼることも多くなりました。肥満・高血圧・高脂血症・高血糖といった異常をいくつか持ち合わせていることを指し(表1)、将来心臓病・脳卒中などの動脈硬化を非常に起こしやすいとされています(日本人の三大死因のうちの2つです)。肥満の指標としておへその高さのウェスト径を用います。
■ 以下のうち、①に加えて、②~④のうち2つ以上の条件が当てはまる場合
① 腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上
② 血圧130/85mmHg以上(いずれか)
③ 空腹時の血糖値が110mg/dL以上
④ 中性脂肪が150mg/dL以上かつ/またはHDL-コレステロールが40mg/dL未満
表1:メタボリックシンドローム診断基準
適正体重は一般的には、身長から計算した標準体重(身長(m)×身長(m)×22)(Kg)または身長の伸びきった18から20歳ころの体重が基準になります。
しかし、同じ体重でも脂肪のつき方によって病気になりやすい場合があります。写真は臍の高さのCTの写真です。左側が内臓の部分が多い内臓脂肪型の肥満で生活習慣病が多いタイプ、右側が内臓の部分は少なく周りの皮下脂肪が多い皮下脂肪型の肥満を表しています。脂肪細胞からはからだの代謝に重要な物質がたくさん分泌されていますが、内臓脂肪はからだに悪い物質をより多く、からだに良い物質はより少なく分泌することがわかっています。その結果、内臓脂肪の面積が100cm2を超えると(表1の診断基準のウェスト径は内臓脂肪100cm2に相当します)、メタボリックシンドロームの項目にあるような生活習慣病を起こしやすく、動脈硬化が進む危険が非常に高くなります。
一度増えてしまった体重を減らすのは至難の業です。時間をかけて徐々に増えた体重を短期間で元に戻そうとするとからだにも負担がかかります。減量も毎日の地道な努力が必要になります。一番良いのは、若いうちの体重を変えずに維持することです。そのためにはバランスの良い三食の食事と運動が効果的で、体重をこまめにチェックすることも必要です。メタボリックシンドロームの原因である内臓脂肪は内蔵の周り、腸間膜についている脂肪で、運動や食事を整えることにより容易に減らすことができます。具体的には、主食・おかず・野菜を一日三回、果物と牛乳を一日一回欠かさず食べて油ものとアルコールは摂り過ぎない。通勤時間を利用して一日に三十分から四十分歩けば申し分なく理想的です。
たばこは肥満・高血圧・高脂血症・高血糖とともに動脈硬化を進めます。ぜひ禁煙しましょう。
写真:内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満のCTの写真