『メタボリックシンドローム』-生活改善のポイント-
2006年11月01日作成
管理栄養士
森山 美年子 先生
前回は、メタボリックシンドロームがどのようなものなのか、診断基準や危険について、また肥満を解消・予防するために何ができるかということを簡単に紹介いたしました。今回は、より具体的に生活の中で気をつけることができる改善のポイントを考えていきましょう。
生活改善の基本は、食事の回数や食品の種類(品目)を減らさないことです。健康的なダイエットには特別なことはありません。
① よくかんで食べる
よくかんでゆっくり食べると、同じ量でも満足感が得られます。また血糖値も緩やかに上昇するため、インスリンの無駄使いを防ぎます。
② 糖質や脂質のとりすぎに注意する
果物に多く含まれる果糖や砂糖はご飯などの主食に含まれるでんぷん類に比べ、消化吸収が速いため、インスリンの分泌を高めて中性脂肪の合成を促進します。食事以外でつい口にしてしまう菓子類や嗜好飲料などから減らしましょう。
脂質は体の組織の材料となり、ビタミンDやEは脂質に解けて栄養素(脂溶性ビタミン)として利用されます。極端に減らすと健康に悪影響を及ぼし、老化を早めます。
③ 野菜は一日350g以上を心がける
野菜にはビタミンやカルシウム、ミネラル、食物繊維が豊富です。特に食物繊維は、腸の運動を促進し、便秘を防ぎ、食後の血糖やコレステロールを下げます。
④ 夜型の生活を改める
昼間は活動をつかさどる交感神経が活発なため、摂取した食物からのエネルギーは活動するとすぐ消費されます。逆に夜間は内臓をつかさどる副交感神経が活発で、摂取した食物からのエネルギーは脂肪として消費されます。夜型の生活は内臓脂肪を貯めやすくします。
⑤ 適度な運動を習慣にする
食事制限だけで痩せようとすると必要な栄養素が不足し、筋肉の量を減らし、リバウンドを起こす危険があります。食事制限とともに必ず運動を行い、消費エネルギーを増やして、筋力の低下を防ぎます。運動で筋力がつけば、太りにくい体質になるだけでなく、骨量も増え、足腰も丈夫になります。
無酸素運動のストレッチやスクワットは、エネルギー消費より筋肉を増やすことで太りにくい体をつくる効果がありますが、脂肪を減らすには、エネルギーを消費する有酸素運動が必要です。ウオーキングが一番お勧めですが、一日8千歩~1万歩を目標に、軽く息が弾むくらいの強さで、少しずつ歩数を延ばしましょう。運動を継続していると、体重の減り具合が鈍くなりますが、脂肪のかわりに脂肪より重い筋肉がついてきた証拠です。健康のためには体重計の数字を減らすというより、筋肉を増やすことが目的と考えてください。
「脂肪を燃焼させるサプリメントについて」
代謝の一部分を担っている程度で、直接脂肪を減らす働きがあるわけではありません。普段の食事や生活に注意するほうがはるかに効果的で安全です。