ホーム  > X-plus >  ライフコラム

この記事を印刷する この記事を送る はてなブックマークに追加する
テキストリンクコードを取得する

中国旅行記

2009年03月01日作成 

志賀真理

海外旅行に行く前に必ず考慮することに通貨の両替があるが、旅の目的地が中国となると、事情は多少複雑になる。現在のところ、人民元2万元以上の持出・持込(約25万円)、または5,000米ドル相当(約50万円)を超える外貨現金の持出・持込は原則禁止されている。(この差額からして、外貨で金を落としていくのはいいけど、人民元が外に流れるのはイヤなのね、というのがミエミエであるが。。。)

もちろん、日本人旅行者が50万円を胸ポケットに入れて、飛行機に搭乗することはあまりないだろう。「ま、クレジットカードがあるから大丈夫」と思うかもしれない。しかし、中国のどの都市のどの宿泊に泊まり何をするかに大きくよるが、例えば、私が前回の上海旅行で泊まったようなゲストハウスなどの安宿、値段交渉が当たり前の露天商店、ローカルの人が主に利用するレストランでは、まずVISAやMasterCard は使えないと思ってよい。これだけしかもっていないと、中国では意外に支払いに難儀する。

一方の中国人旅行者にとっては、さらなる不便がある。日本に旅行に来るような富裕層のお目当てといえば、最新型の液晶テレビや、パソコン、デジタルカメラなどの電化製品、あるいは女性なら中国国内ではむしろ手に入りにくい(!?)本物のブランド品だろう。ちょっと買い物すれば10万円くらい容易に超えてしまう。旅行にかかる宿泊費・食費などを考えると、人民元2万元以上持ち出し禁止は、確かにネックになる。

それで有効なソリューションとして最近注目されているのが、Union Payである。このマークに見覚えのある方、いるだろうか。

これは、中国国内では主に銀行口座から直接引き落とされるデビットカードとして使用され、ちょっとした食料品店などのスーパーでも使えるようになっている。なんと発行数はすでに15億枚以上!!実は、このカードが日本でもそのまま使用できるようになっているのだ。これで支払えば、人民元をわざわざ持ち出さなくても中国国内にある自分の銀行口座からそのまま元で落ちるわけである。日本国内でこのUnion Payを使用できる店舗は今年5月の時点で1万軒を突破したらしい。「お手持ちのUnion Payそのまま使えまっせ。」というのが中国人客に向けた呼び込み文句となっているようだ。

ちなみにこの決済システムの導入を可能にした会社はNTTデータである。導入に当たり、日本で使用されている決済総合ネットワークサービス「CAFIS」とUnion Payの決済ネットワークを接続するわけだが、日本の暗証番号は4桁なのに対し中国は6桁であったり、カードの識別番号コードも一部異なったりと、さまざまな「規格の違い」を乗り越える必要があったようだ。こうした規格や通信手段の違いを「変換」して、相手側のネットワークに送信する技術をNTTデータが開発した。

もちろん、このシステム導入に我々日本人も預かれる恩恵がある。つまり、このUnion Payを持って中国に行けば、ほとんどの支払いはこの一枚で済むのである。現在、三井住友銀行がクレジット機能つきのUnion Payを発行している。中国旅行を計画されている方は、これもオプションの1つに入れられるだろう。(http://www.smbc-card.com/mem/addcard/ginren.jsp
「システム開発」と聞くと業界“内”にいる人間には「うわぁ、残業大変ね」という感じだが、実際に1つのシステムの実現が、どのように人の流れや経済活動に影響を及ぼすのか、よく観察するとなかなか興味深いものがある。





ページトップへ戻る