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NewsDX 第28号

2006年11月01日作成 

XML関連標準化ニュース

2006年6月~8月のW3Cの動きを見てみると、2つの特徴が表れていることが分かる。1つは「基礎規格のバージョンアップ」、もう1つは「一連のXQuery関連規格の整備」である。これらを含め、W3C動向を記す。

XMLのバージョンアップ

「基礎規格のバージョンアップ」としてXML、XML SchemaというXML関連規格のベースとなる規格が見られた。

〔〔ワーキングドラフト〕〕
■ Extensible Markup Language (XML) 1.0 (Fourth Edition)(2006/8/16)
■Namespaces in XML 1.0 (Second Edition)(2006/8/16)
■Namespaces in XML 1.1 (Second Edition)(2006/8/16)
■ Extensible Markup Language (XML) 1.1 (Second Edition)(2006/8/16)
■ XML Schema 1.1 Part 1: Structures(2006/8/31)

〔〔ワーキングドラフト・イン・ラストコール〕〕
■ XML Schema 1.1 Part 2: Datatypes(2006/2/17日)
XMLのバージョンアップとは言っても、これまでのXML利用にそれほど影響がある訳ではない。XML1.0に対して改行文字の追加やUNICODEのバージョンアップに対応して改訂を行っただけのものなのでほとんどのXMLシステムには影響はない。名前空間の方も、記述方法がURIからIRI(Internationalized Resource Identifiers:URIを書くときに日本語などの英数字以外も使用できるようにしたもの)に変わったものであり、本質的に規格が変わったわけではない。
XML Schema1.1は、主にXML1.1準拠のデータを対象としている。規約内容としての1.0からの変更点としては、スキーマ記述の制約などに関する細かい点での変更がいくつかあるが、目立った変更点としては、任意の要素を書けるようにするxs:any指定において、notNamespace属性が新たに加わったことが挙げられる。これまでは名前空間の除外指定としては、namespace="##other"と書けば、自分の名前空間以外という指定があり、除外対象は自分の名前空間だけだった。notNamespace属性の導入により、特定の名前空間"以外"のものを許すという指定が行えるようになる。

一連のXQuery関連規格の整備

XQuery関連の規格が昨年来、勧告候補で止まってはいるが、催促の意味もあるのか6月、7月に再度公開された。勧告候補の段階まで来ているので、勧告まであと一息という状態であり、データベースでの照会言語としてXQueryの実装も広がっているので、早期に勧告になることが期待される。

〔〔勧告候補〕〕
■ XQuery 1.0 and XPath 2.0 Data Model (XDM)(2006/7/11)
■ XQuery 1.0 and XPath 2.0 Functions and Operators(2006/6/8)
■ XML Path Language (XPath) 2.0(2006/6/8)
■ XQuery 1.0: An XML Query Language(2006/6/8)
■ XQuery 1.0 and XPath 2.0 Formal Semantics(2006/6/8)
■ XML Syntax for XQuery 1.0 (XQueryX) (2006/6/8)
■ XSLT 2.0 and XQuery 1.0 Serialization(2006/6/8)

〔〔ワーキングドラフト〕〕
■ XQuery Update Facility(2006/7/11)

『XMLバイナリ再始動』

この他、新しい動きとして、XMLデータのバイナリ表現を検討するワーキンググループが最初のワーキングドラフトを公開した。以前、XMLバイナリと呼ばれていた活動を2005年11月からEfficient XML Interchange (EXI)という名前のワーキンググループが引き継ぎ、今回の資料公開につながっている。

〔〔ワーキングドラフト〕〕
★ Efficient XML Interchange Measurements Note
    (2006年7月18日)
これは、XMLインスタンスの様々な圧縮形式について、その効果性にを評価した結果をまとめたものである。XMLは、テキストデータとしてやり取りされるのが基本であるが、携帯電話などへのデータ伝送を考えると、データ量を減らす工夫が必要である。また、これから情報家電などでXMLが利用されるようになると、このようなバイナリ形式でのXMLデータのやり取り、アプリケーション開発も重要になると思われる。

ニュース-OASIS編

OASISは、W3Cで制定されたコア規格を使って、様々な業界に特化した応用規格を数多く検討している。ここでは、文書処理分野とWebサービス分野での動向をお伝えする。

『DocBookに置き換わる?DITA』

DITA(Darwin Information Typing Architecture)は、元々IBMでマニュアル作成のために開発されたXML応用仕様である。IBMとマニュアルと言えば、これまでXMLの前身のSGML仕様を使ったIBMIDDocを使ってマニュアル作成が行われてきたという実績があるが、そのIBMで、モジュール単位でマニュアルのパーツを管理し再利用するモデルをDITAとして開発された。これを標準化すべくOASISに持ち込まれ、OASIS標準となったのである。OASISのDITA技術委員会では、IBMのDon Dayが主査を務めている。
DITAは既に2005年5月にOASIS標準として承認されているが、その後も活動範囲が広がり、サブの委員会として以下の3つが設置されている。

■DITA Translation Subcommittee(DITA文書の多言語化)
■DITA Learning and Training Content Specialization Subcommittee(DITAのeラーニング教材開発への適用)
■DITA Machine Industry Specialization Subcommittee(DITAの機械産業分野への適用)

SourceforgeでもDITA Open Toolkitの開発が行われている、また、Adobe FrameMaker7.2でもDITA用のアプリケーションパックのベータ版が公開されるなどDITAは確実に普及している。DITAのコンファレンスも開かれるなど、DITAは、XMLによる文書処理分野での久しぶりの大きな話題となっている。文書処理関係者はDITAの動向からしばらく目が離せない。

『Webサービスの応用規格』

Webサービスの応用規格も数多く検討されている。「Webサービス」のカテゴリー属する技術委員会だけでも23の委員会がある。この他、「セキュリティ」のカテゴリーにもSAML、WS-Securityなどを検討する委員会がいくつもあり、XMLの応用規格をWebサービスが牽引していることが伺い知れる。下記のリストからも分かるように、eコマース規格の代表的なebXMLは、OASISで審議されている。Webサービス関連の規格の主なものを以下に示す。

■OASIS ebXML Collaboration Protocol Profile and Agreement (CPPA) TC
商取引のパートナー企業が、電子メッセージ交換によって電子的なビジネス・コラボレーションに参加するための方法を定義したebXML CPPAを検討。
■OASIS ebXML Registry TC
ebXMLの登録とリポジトリー管理を検討。
■OASIS Web Services Business Process Execution Language (WSBPEL) TC
ビジネス・プロセス活動をWebサービスとして記述し、特定の業務を実現するのにそれらをどのように結合するかを記述する仕様を検討。
■OASIS Web Services Composite Application Framework (WS-CAF) TC
複数のWebサービス・アプリケーションの組み合わせを行うためのオープンなフレームワークを検討。
■OASIS Web Services Reliable Exchange (WS-RX) TC
Webサービスを使った信頼性の高いメッセージ交換のプロトコルを検討。
■OASIS Web Services Reliable Messaging (WSRM) TC
アプリケーションやWebサービスへのメッセージ配信を保証するための仕組みを検討。
■OASIS Web Services Security (WSS) TC
高度なWebサービス・アプリケーションのメッセージにおける整合性や機密性のようなセキュリティ関連の機能を実装するための技術基盤を検討。





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