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日本語の重箱の隅(日常編)

2009年03月01日作成 

中村園子

今回は、パソコンを使って普段していることについての日本語を考えてみます。

メールを数える

日本語には、物を数えるために使う言葉がたくさんあります。そうした言葉の辞典もあるほどです。イカは杯、たんすは棹(さお)、などあまり使わないものも、日本語についての本でときどき紹介されています。では、毎日のように使っているメール(のメッセージ)はどうでしょうか。身近なものなのであまり気にしないかもしれませんが、改めて考えてみると、何と数えていますか?
たいていの場合は、「通」か「件」で数えているのが現在の状況のようです。では、「通」と「件」で数える場合には何か使い分けがあるのでしょうか。これは人によっての違い、またメールの内容による違いがありそうです。
「通」は、手紙などの通信物を数えるときに使うので、メールもその電子版と考えるなら「1通、2通」と数えるのがごく自然でしょう。たとえば、hotmailでも「~通のメッセージ」と表示されます。
一方、毎日多数のメールを受け取ったり送ったりしながら仕事をする場合、メールを「1件、2件」と数えることが多いようです。「件」はことがらを数えるときに使う言葉なので、「1件、2件」と数えるとあまり通信物という感じはしなくなります。メーラーを活用して仕事を管理する場合などは特に、メールは「タスク」として数えられているといえるかもしれません。
ただし、「件」で数えることが多い人でも、内容が長かったり、大切なことが書いてあったりしたメールの場合は、やはり「1通」となるのではないでしょうか。お客様からのご意見のメール、クレームのメール、きちんと対応する必要があるものは、「処理するメールが1件増えた」ではなく、「大切なメールを1通いただいた」と思って受け止めて応じたいものです。

「クリックいただく」?

リンクやボタンなどをクリックするように案内する文面で、「クリックいただき、~」というものをときどき目にします。「クリックいただきますと詳細をご覧いただけます」というような場合です。何となく違和感がないでしょうか?
相手に何かをしてもらうときには、「お送りいただく」「ご連絡いただく」のように「お/ご○○いただく」という言い方をします。また、「○○していただく」と言うこともできます。ただし、「クリックする」の場合は、「お」も「ご」も付けるのは変です。かといって、「お/ご○○いただく」はこれで1つのまとまりなので、付けないで「クリックいただく」と言うのは不自然な感じがしてしまいます。
それで、無理に「いただく」としなくても単に「クリックする」でも足りますし、どうしても丁寧にしたいのであれば「クリックしていただく」とするのがよいと思われます。

・・・おまけ

内容とは関係ないのですが・・・、通りがかりの道で目にとまった標示です。





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