ミーハーシンドローム 闘病日記 ~iPad編
2011年10月01日作成
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日本ユニテックの視点から見たiPad
最後に日本ユニテックのiPadへの取り組みをいくつかご紹介させていただきたい。「はじめに」の部分で触れている通り,購入申請をして“業務上”手にした以上,業務としてのメリットを見いださなくてはならないのだ(後付かい!)。
現時点で日本ユニテックは2つのカテゴリでサービスを提供している。ひとつは「ドキュメントソリューション」,もうひとつは「情報管理ソリューション」である。
まず,弊社のコアコンピタンスと位置づけている,ドキュメントソリューションからであるが,この点で私は現状の電子書籍業界を以下の3カテゴリに分類して捉えている。
その内,2つのカテゴリ,文庫系・画像系においては,既に標準規格が確立しており,事例も多くなっている。文庫系においてはePub,画像系においてはPDFで賄うのが,今のところ現実的な解となるだろう。
それらの規格に対する取り組みも当然ながら必要だが,どちらかというと,この2カテゴリは,これまでのPC環境の延長線上にあり,弊社としてもそれなりのスキルを既に保持している部分である。ePubに関してはXMLの規格として取り組んできたし,Adobe社のソリューションプロバイダとしてPDFに対する理解もある程度は積み重ねてきた。
それで,残すところは最後のカテゴリ,動的テキストのエリアとなる。文庫のような読み物でもなく,かと言って画像系のようにPDFが表示されるだけでは物足りない種類のドキュメントであり,適用分野としては,電子カタログやWebマガジンなどが主流コンテンツの世界となるだろう。
この分野はデファクトスタンダードな形式がまだ定まっておらず,新規参入する余地が残されていると言えるし,さまざまなバックエンドシステムと連携する可能性も秘めているため,この部分に注力した戦略は悪くないように思われた。
それで,以前からのビジネスパートナであるプロフィールド社が開発した「ProBridgeDesigner-i(以下,PBD-i)」という製品を核としたソリューション提供を展開している。
これは,紙の媒体も作りつつ,電子媒体にも対応しなければならないメーカや制作会社をターゲットにした製品で,Adobe InDesignのプラグインとして動作するのが最大の特徴となっている。オペレータが習熟しているInDesignの編集環境を変えることなく,その上で各コンテンツに対する電子媒体での振る舞いを設定するだけで電子媒体に展開できるため,費用対効果の高いソリューションであると考えている。
また,PBD-iは,iPadなどのビューワで閲覧することができるデータを書き出すものなので,実際にそのデータを読み込み,iPad上に表示するビューワを開発するためのDeveloper's Kitも併せてご提供している。これにより,それぞれのニーズに合わせたビューワを開発することができるため,企業文化やコンテンツ内容に合わせたアプリ構築が可能となる。
当初はPBD-iのStandard Editionとして,コマ組のような比較的単純なレイアウトだけに対応していたが,現在はProffecional Editionも登場し,表示エリアの中でテキストがフローしたり,縦横で違うレイアウトに切り替えたり,同じ画像フレームで表示される画像を切り替えたりすることができるようになった。
弊社の事例ではないが,実際にPBD-iを使用して作成されたWebマガジンのフイナム別冊がApp Storeからダウンロードできるので,環境があればご覧いただきたい。
この動的テキストのカテゴリには,本命との呼び名の高いAdobe Digital Publising Suiteも投入されてきており,電子書籍の中では動きのあるものとなっている。本稿をご覧の皆様の中にも,関心を持っておられる方がいらっしゃれば,ぜひご連絡を頂戴したいと願っている。
さて,弊社はもう一つ,「情報管理ソリューション」として,iPadを使用した様々な情報入力・閲覧環境をご提供している。
そのなかで,とある特養老人ホーム様にご提供している情報入力アプリがやっと形になってきているので,最後にご紹介させていただく。
これは,入所者様のケア担当者が,体温や血圧などのバイタル情報をはじめとして,食事や着替えなどのお世話全般の記録をベットサイドで記録するためにご提供しているものである。
これまでは,紙のフォームに記録を取り,それを正式な記録用紙に転記したり,PC上の介護システムに入力するため,記録の仕方にバラつきがあったり,転記ミスが生じることもあったようだ。
弊社でご提供しているソリューションでは,iPad上でバイタル情報やサービス内容を入力していただくことにより,中央サーバにデータが送られ,各入居者データが蓄積されていくので,データを打ち直すような2度手間が必要なくなり,日々の申し送りや月次報告の際に容易に参照できるように設計されている。
このお客様には別途介護支援システムがあり,そこからはWindows Mobileを使用したモバイル連携システムの提案も受けられていたようだが,iPadの総合的な使いやすさを高く評価頂いて,ご採用を頂戴した。
もちろん,介護の現場は多忙を極めており,様々な状況に柔軟に対応していかなければならないため,入力環境も一筋縄ではいかず,現状のソリューションもさらにブラッシュアップする必要が生じているので,一つずつご指導を頂きながら改善を加えている状況である。
ゆくゆくは,介護支援システムとの連携や,ケア担当者だけでなく,入所者様やお見舞いに来られたご家族の方々もお使いになれるようなアプリをご提供して行きたいとも考えているので,この点に関してもご関心を持たれる方には,ぜひご連絡を頂戴したい。
まとめとして
以上,3つの視点を切り口としたゆる~いレビューをお届けした。目新しい情報に乏しい内容となってしまったが,iPadに対する自分の思いと,弊社の取り組みをご紹介する機会をいただけたことに感謝している。
できれば,この記事が,弊社へのお問い合わせという形で結実することをソリューション担当としては切に願っているが,そうでなくても一時の退屈しのぎのお役に立てたなら幸いである。
じつは,冒頭で述べたように多少浮き足立ってiPadを購入した時,正直言って幾らか後ろ向きの感情もあった。(´-`).。oO(どうせ今回も半年ぐらいで飽きちゃうんだろうな~)ってやつである。これまでこの手のデバイスに翻弄された末の,自己防衛本能とでも言ったらいいだろうか。あんまり入れ込み過ぎるとショックも大きいので,事前にちょっと逃げ道を作っておいたのだ。
でも,その必要は無かったかも知れない。あれから1年経とうとしている今,iPadに飽きて手放そうとは全く思っていない。タッチ&フィールに優れ,アプリが増殖していくiPadの世界は,想像を超えたものだった。
……闘病生活はまだまだ続きそうだ。