ビギナーズコーナー:XML入門(1)
2001年05月31日作成
(株)日本ユニテック 野田 俊太郎
eXtensible Markup Language(以下、XML)とは、1998年2月に発表されたインターネット上で扱うデータを記述するための新しいデータフォーマットである。現在IT業界のみならず様々な業界が注目しており、文書処理からEコマースにいたるまでネットワーク上のデータ処理のあらゆる面でXMLが活用されている。
本記事では、XMLの歴史、XMLの文法などを含め、XMLの仕様とその周辺技術を紹介する。
<目次>
XML仕様制定までの歴史
XMLはSGML(Standard Generalized Markup Language)から始まったと言える。なぜならXMLはSGMLのサブセットだからである。つまり、SGMLという言語が存在しなければXMLは誕生しなかったのである。
1986年、ISO(国際標準化機構)においてISO8879としてSGMLが制定された。その後、自動車業界、航空業界、半導体業界、製薬業界、コンピュータ業界など様々な業界で使用されるようになった。しかしながらSGMLはWeb上のデータ記述言語としてはなかなか普及しなかった。SGML仕様そのものとSGML文書の処理に必要な周辺技術仕様が巨大かつ複雑なものとなったため、ソフトウェア開発が難しく、また、SGMLソフトウェアのパフォーマンスが悪かったのである。これらがSGML普及の妨げの原因となった。
その後1990年代に入り、SGMLの応用言語であるHTMLを利用したWebが爆発的な普及を遂げ、文書閲覧のみならず、電子商取引という形で利用されるにいたったのであるが、ここでHTMLの限界が強く認識されるようになった。HTMLでは、タグ名が固定されており、ユーザーが自由にタグを拡張して使用することはできない。また、HTMLでは厳密な構文解析をすることが難しいのである。このことは、電子商取引においてHTMLを使用する場合に大きな欠点となる。
こうしたHTMLの限界に対する認識からSGMLをWeb上で使えるようにしようという議論が始まった。
1996年4月、SGMLをWebで使えるようにしようとの議論が開始され、W3C内にXML ワーキンググループの前進であるSGML ワーキンググループが結成された。そして、同年11月には米国ボストンで開催されたSGML'96カンファレンスにXML仕様の最初のドラフトが提出された。それから約2年後の1998年2月10日、XML1.0はW3Cの勧告として発行され、その仕様書がW3Cのサイトに発表されたのである。
最初のドラフトの発表から勧告の発行まで2年足らずであるが、このような短期間で仕様を決定することができたのは、あらかじめSGMLというベースとなる規格が存在していたからである。(例えば、SGMLのスタイルシートであるDSSSLのISOによる標準化作業には約10年の歳月が必要とされた。)
勧告となった後、XMLはWebアプリケーションが使用するデータの標準シンタックス(構文)としてあらゆる分野で利用されるようになった。
- 1996年11月 :XMLの最初のドラフト公開
- 1997年 3月 :XMLのドラフト第2版公開
- 1997年12月 :XML勧告案の公開
- 1998年 2月 :XML 勧告の発表
>>「XMLの長所」について
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