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Adobe Creative Suite2

2005年08月01日作成 

2005年7月、約1年半ぶりにAdobe Creative Suite(以下、Adobe CS)がメジャーバージョンアップし、Adobe Creative Suite 2(以下、Adobe CS2)として発売が開始された。この記事では、より「Suite」らしくなり、成熟したパッケージとなったAdobe CS2に注目する。

Adobe CS2 の新しいアプリケーション

Creative Suite 2 では、Photoshop、Illustrator、InDesign、GoLive、GoLive、Acrobat に加えて「Adobe Bridge」が仲間入りした。

Adobe Bridge に よ り、Adobe CS2 は「Suite」としての連携が強化されたといえる。Adobe Bridge は、Photoshop に搭載されてきたファイルブラウザがベースになっているアプリケーションだが、 CS2 では独立したアプリケーションとして利 用 可 能 で あ る。 機 能 の 拡 張 に 加 えて、Photoshop  CS2、Illustrator  CS2、InDesign CS2、GoLive CS2 か ら も ア クセスできるので、ファイルアセットの検索やアクセスといったアセット管理の中心、つまりハブになるアプリケーションである。

ビジュアルファイルブラウザとしての基本的な機能に加えて、次に挙げる機能も盛り込まれているので Adobe Bridge によって生産性は格段に向上するだろう。


表:Adobe Creative Suite 2 のパッケージの内容

保存したファイルグループ

複数の Adobe Suite アプリケーションで編集している状態をファイルグループとして保存することが可能になった。この機能により、ファイルを探す時間の無駄を省くことができるだけでなく、Version Cue を併用すれば、より作業効率を上げることができる。

Adobe Stock Photos

複数のストックフォトプロバイダから著作権フリーの画像を検索、閲覧、購入可能な機能。現時点では海外 4 社に加え、国内では「amana」のストックフォトサービスが利用可能。低解像度版は無料でダウンロードでき、高解像版も Adobe Stock Photos から購入可能。Adobe CS2 を構成するアプリケーションの話から外れてしまうが、今回から、Adobe CS2 を構成する全てのアプリケーションでライセンス認証(アクティベーション)が必要になったことにも触れておく。

Adobe CS2 の新機能

続いて、各アプリケーションの魅力ある新機能の幾つかに注目する。

■ Photoshop CS2

Vanishing Point

視覚的な遠近感に合わせて、画像をコピーしたりペイントしたり変形が可能。画像編集ワークロードを一気に軽減する画期的な機能。

スマートオブジェクト

ベクトルグラフィックをスマートオブジェクトとして読み込む機能。オブジェクトを拡大・縮小、回転、ワープしても品質を保持する。

■ Illustrator CS2

ライブトレース

ビットマップグラフィックをベクトルグラフィックに変換する。短時間で、ビットマップを編集可能なパスとアンカーポイントで構成されるベクトルグラフィックに変換する画期的な機能。

ライブペイント

アートワークに対して直感的に塗りつぶしを行える機能。隙間オプションにより、オープンパス(交わらないエッジ)を検出し、必要に応じてパスを追加して隙間を埋めることが可能。

■ InDesign CS2

オブジェクトスタイル

様々なオブジェクトフォーマットの組み合わせに名前をつけて、スタイルとして保存する機能。文字スタイルや段落スタイルのオブジェクト版。

InCopy との連携

日本で初登場の Adobe InCopy CS2 が同時に発売開始(Adobe CS2 とは別売り)。InCopy CS2 は、InDesign のページレイアウト情報を残したまま、執筆を行うために必要な機能を提供する。執筆、編集、デザインの共同作業への貢献が期待できるアプリケーションである。InCopy もライセンス認証が必要。

■ GoLive CS2

CSS ブロックオブジェクト

プリセットとして準備されている CSSブロックオブジェクトをドラッグ & ドロップするだけで、CSS ベースの Webサイトをデザインできる画期的な機能。

SVG-Tiny のオーサリング

SVG-Tiny(SVG-t)1.1、1.2 をサポートし、モバイルコンテンツオーサリングを機能強化。SVG-t は W3C で規格化された携帯電話用のインタラクティブコンテンツに関するデファクトスタンダード。

Adobe CS2 と XML

最後に、Adobe CS2 で使われているXML技術に注目する。様々な用途でXMLが利用されている。

メタ情報としての XML

XMP(Adobe  Extensible  Metadata Platform)が、Photoshop や Adobe Bridge のファイルメタデータとして利用されている。Adobe Stock Photos でダウンロード/購入できる画像も XMP で管理されており、XMP の汎用性の高さを知ることができる。

XML コンテンツへの対応

Illustrator  CS2、GoLive  CS2 は SVG、SVG-t に対応している。また、GoLive CS2 は SMIL のオーサリングも行える。

InDesign CS2 で は、XML サ ポ ー ト が強化された。アドビ社は以下の点を挙げている。

○ DTD による XML 構造の妥当性検証
○ XML ファイルへのリンク
○ 繰り返すテキスト要素へのスタイルの自動適用
○ 空白のみの要素をスキップ
○ 読み込まれた XML に一致しない要素、フレーム、内容の削除
○ テキスト要素を表に読み込み
○ 属性ベースのスタイルマッピング

ドキュメントフォーマットとしてのXML

InDesgin では、XML ベースのフレームワークに従ってドキュメント内容を記述するファイルがある。

1. InDesign 互換ファイル(.inx)
2. InDesign スニペットファイル(.inds)
3. InCopyファイル(.incx)

InDesign がバージョンアップする度にユーザを悩ませた課題の一つはファイルの下位互換性だった。その解決策が、InDesign 互換ファイルである(InDesign CS に は プ ラ グ イ ン を 追 加 す る 必 要 があ る。 プ ラ グ イ ン の 詳 細 に つ い て は、http://www.adobe.co.jp/support/down loads/2451.html を参照)。

InDesign スニペットとは、InDesignのページ上にあるテキスト、グラフィックなどをスニペットファイルとして保存することにより、データ(レイアウト情報を含む)を共有したり、再利用できるという大変興味深い機能である。スニペットファイルを、他の InDesign ページに配置(またはドラッグ & ドロップ)すると、オブジェクトとフォーマット設定をページ上の相対的な位置にレイアウトする。

InCopy については新機能の紹介で取り上げたので、そちらをご覧いただきたい。それぞれのファイルの役割を考えてみると、これら 3 つが inx 形式をベースとした兄弟関係であることが分かる。


選択範囲をスニペット書き出し

新規InDesign ファイルにスニペットを配置相対的な位置に配置される

スニペットファイルの内容

この記事では、発売されて間もない、Adobe Creative Suite 2 のトピックを紹介した。

Adobe CS2 が、定番のソフトを寄せ集めただけのパッケージではないことに十分にお気づきになったと思う。各アプリケーションが持つ興奮をそそる数々の機能に加えて、それぞれの連携性、XML ベースのフレームワークなどにより、前バージョン以上にクリエイティブワーカのための「Suite」になっている。Adobe Creative Suite のこれからに期待したい。

(中山孝太郎)


【脚注】
記事執筆にあたり、Adobe Creative Suite 2 日本語ベータ版を使用した。



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